今月上旬にウラジオストクで開催された東方経済フォーラムへの安倍晋三首相の参加について報じるレポーターたちを通じて、8項目で構成されると言われている日本の対露経済協力案について、 この計画は、医療、都市計画や中小企業の提携の分野において協力態勢を強化するための呼びかけで構成されている。 しかし、この計画において最も注目に値するのは、ロシアのサハリン島 と日本の間にガスパイプラインを建設するという、かなり前に挫折した提案を復活させる案が盛り込まれていることである。 サハリンと日本の列島間に海底パイプラインを建設するというアイデアは、過去15年間にさまざまな形で繰り返し提案されてきたものだ。 「サハリン1」プロジェクトの過半数所有者で操業者であるエクソンモービル社は、この関心に同調し、2008年までにガスの輸出を開始する意向を改めて明らかにした。 後にこのプロジェクトは、公表もなく注目をひかないように棚上げされた。 2006年には、サハリンのガス田と日本の北海道をつなぐガスパイプライン建設の新たなアイデアが提案された。 日本からのこの提案には、液化天然ガス (LPG) の価格高騰が背景にあった。 この場合もイニシアティブは長続きしなかった。ロシア連邦天然資源利用監督庁がサハリンの野生生物に対する環境被害の調査に着手したことで、またしても案件が棚上げにされたからだ。 2011年3月に福島の原子力発電所で起きた災害は、この案件に再び脚光が当たるきっかけとなった。 9/11テロ攻撃の直後に米国との断固たる結束を確認した時と同様に、ロシアは、救助チームとエネルギー供給という形で日本の支援を申し出た最初の国の一つだった。 これにより2国間の対話が再び活気づけられ、共同エネルギープロジェクトの話し合いに拍車がかかったのである。 化石燃料資源に乏しいことで有名な日本は、エネルギーのほとんどすべてを化石燃料資源で賄わなければならないという切迫した現状への対処に苦心してきた。 ガスの輸入元となりうる産出国は他にも多くあるのだが、最も有利なのはサハリンだ。 北海道の最北端からわずか45キロしか離れていないサハリンのガス生産量は、 経済的協力の発展を北方領土の返還を必須条件とする日露平和条約の調印につなげる努力を政府が長年にわたって展開してきた中で、天然ガスパイプラインのプロジェクトが後押しされているという事実は、日本の政治家が現実主義へと方向転換しつつあることを示す重要な徴候だ。 日本は数多くの理由から海底ガスパイプラインの建設を提唱しているが、その主な理由は利益だ。日本は国内のエネルギー需要をまかなうのに、液化天然ガス (LPG) の輸入に著しく依存している。南西アジアのLNG価格はヨーロッパやアメリカのLNG価格よりも高額な状態が続いているため、このガスパイプラインができると、割増の価格を支払わなくて済むようになる。 サハリン・日本間のパイプラインが実現した場合、ロシア (すなわちガスプロム) は、欧州連合との交渉において、より的確で有利な交渉力をものにすることができる。 また、これにより、単一市場への輸出に依存するリスクが回避され、ロシアが長年にわたり目指してきた東方へのガス供給の分散化が実現されるため、これまで強硬な姿勢を貫いてきた中国企業にも対処しやすくなるだろう。 日本との合意締結に向けて十分な政治的意向が表明されれば、北朝鮮を経由したり海底パイプラインを用いたガスパイプラインの建設に関するロシア・韓国間の交渉が加速化される可能性もある。 *著者はMOLグループで石油供給を専門とするアナリストで、現在ブダペストを拠点とするシンクタンク、ロシア外交問題評議会に勤務している。*これはロシア・ビヨンドのニュースレターの配信を申し込む今週のベストストーリーを直接受信します。このウェブサイトはクッキーを使用している。詳細は ロシアの国営企業「ロスネフチ」のイーゴリ・セチン社長は、先週東京で開かれた会議「エネルギーブリッジ・ロシア-日本」で、ロシアは日本の天然ガスに関するニーズを完全に充足できるとの確信を表 … ロシアの国営企業「ロスネフチ」のイーゴリ・セチン社長は、先週東京で開かれた会議「エネルギーブリッジ・ロシア-日本」で、ロシアは日本の天然ガスに関するニーズを完全に充足できるとの確信を表した。日本は現在、液化したガスを受け取っている。日本が輸入している液化天然ガス(LNG)は、国際的な平均価格よりも高い。加えて、燃料として使用するためにLNGを気体に戻さなければならず、消費者に届けるためには数段階にわたる複雑なシステムも必要とされる。日本の独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によると、パイプライン経由でのガス輸送は、パイプラインの建設費や供給ネットワークの構築費用を考慮したとしても、東アフリカやオーストラリア、また米国からLNGを輸入するプロジェクトを実現するよりも安く上がるという。著名なロシア人専門家のドミトリー・ストレリツォフ氏は、次のような見解を表している‐日本へ直接ガスを供給するためのガスパイプライン計画の実現には、パイプラインやパイプライン用の機器を製造しているメーカーだけでなく、ガスを供給している企業なども賛同している。これらのメーカーや企業は、北海道を経由して東京や新潟に安価なガスを供給することで、企業が集中している中央部および西部から生産拠点を東北地方に移し、東北地方の経済活動を高めることができると考えている。これは、日本経済全体の後押しにもなる。一方でストレリツォフ氏は、政治が同プロジェクトの実現を妨げていると指摘し、次のように語っているー一方で、日本ではプロジェクトを支持する議員グループが設立された。議員グループは、ロシア産のガスおよび石油の輸入量が2倍になっても(現在、日本のエネルギー輸入量に占めるロシアの割合はおよそ10パーセント)、「過度に依存」することにはならず、日本のエネルギー安全保障にも悪影響を及ぼすことはないと考えている。またこのプロジェクトを制裁対象にすることはできない。なぜならロシア産ガスは欧州へ供給されているが、疑問視されていないからだ。さらにプロジェクトを実現するために、特に新たな施設なども必要もない。ガスは、稼働中の「サハリン1」から供給される計画であり、コンプレッサーステーションの設置は完了している。その他、ロシア側からの多額の投資も必要としていないため、融資も必要ないということだ。ロシア側のパイプラインの長さはわずか60キロ。地震地帯の海底にパイプラインが敷設される可能性も、懸念を呼んではいない。ストレリツォフ氏は、現代の技術でこの問題を解決することが可能だと指摘している。
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